俺様執事に全てを奪われて

「どこに行く?」

右側からひくーい、ひくーい声が聞こえてきた

なんで?

どうして元の声が聞こえるんだ?

誰にも見つからずに、外に出たのに!

ゆっくりと左を見ると、腕を組んで怖い顔をして立っている元がいた

「お、お仕事、ご…ご、御苦労さまです」

わたしは苦笑した

元の後ろには黒塗りの車がある

近くには緑色のホースがある…てことは車のお掃除をしていたのだな

なんとバットタイミングなんだ

メイドに見つかっても…元には見つかりたくなかったよぉ

絶対に、怒られる

ここは怒られる前に、家の外に出てしまえ作戦だっ!

ふんっ

よく作戦だ

元は洗車用に、長靴にゴム手袋をしている

だから外に出てしまえば、追いかけてこないだろう

「乙葉、どこに行くと聞いている」

また元の不機嫌な問いがあった

「き、気分転換にお散歩、とか?」

「『とか』じゃねえよ
散歩なら、敷地内の庭園があるだろ
そこでしろ」

「お外に出たい」

「ここも外だ」

「そうだけど…家の外」

「ここも家の外だ」

元が建物を指さしてから、芝生を指さした

まあ、解釈によっては家の外だけどぉ…