美鈴は寝台に腰かけると今しがた見た夢を思い返していた。 夢にしてはやけにはっきりとしていて、 現実味を帯びていた。 「うっ…」 突然頭が痛みだし、美鈴は両手で頭を抱えて倒れた。 その瞬間、幼いころの記憶が断片的だが蘇った。 あの人。 迷子になってしまった私を、 助けてくれた人だ…。 どうして今まで忘れていたのだろう。 「美鈴?」 いつの間にか緋昏が帰ってきていた。