そこには、不思議そうな顔をして美鈴を見つめる緋昏がいた。
「腹でも痛いか?」
「…?・・・・・・いいえ。」
「ならば何故だ?
まさか、お前は我輩に食われるとでも思ったか?」
美鈴が目を丸くして驚いていると、
緋昏はいきなり、がっはっはと大口を開けて笑いだした。
これはどういう状況なのだろうか?
美鈴が困惑していると、緋昏は笑ってこう言った。
「お前のような子供は食わんよ。
それにこの前生きのいい娘を食ったばっかりだしな。」
美鈴は“食われない”という言葉を聞いて安堵したが、
“生きのいい娘を食ったばっかり”
という言葉にぞっとした。
「…生きのいい娘…とは?」
「ああ、この前の生贄の娘だ。」
やっぱり、梅子殿はこいつに…
くらり、
美鈴は目の前が真っ暗になった。