そしてとうとう、私を鬼に引き渡す場所 白洞山のふもとの少し開けた場所に着いた。 私が籠から出た時はすでに夜になりかけているようで 辺りは薄暗く霧が出ていた。 しばらくして、 のしっ のしっ という足音と、 霧の中に浮かぶ二つの光が、 こちらに近づいてきた。 籠を持っていた男がもっている提灯の明かりで 近づいて来た者の姿が照らされた。 その姿を見た瞬間 全身に鳥肌が立ち、まだ夏だというのに がちがち歯が音を立てるぐらい震えて、 止まらなかった。