「う…梅子殿は、その、…嫁いだ後どうなったか知ってますか?」
「わたしゃ、そんな事知らないさね。
知りたくもないけど、梅子を連れてった男の一人はこう言ってたよ。
“梅子は赤い鬼に引きずるられるように連れて行かれた”ってね。
もしかしたら今頃は、食われてこの世にはいないかもねぇ。」
…聞かなければよかった。
「今更後悔したって遅いさね。覚悟決めな。
そんでもって、せいぜい鬼の機嫌を損ねないようにして命乞いでもするんだね。
あたしならそうするよ。」
「…はい。」
梅子殿は赤い鬼とやらに食べられたのかもしれない。
そんな事を聞かされ、私は恐怖で頭が麻痺したのかぼんやりと考えていた。
私もその赤い鬼に食べられてしまうのか、
と。
