声のした方を見ると村の男がこっちを指差しながら後ろで誰かを手招きしていた。 「こらぁ、まずいことになった!」 佐久助殿の額に冷や汗が浮かぶのが見えた。 佐久助殿がやろうとしていることは、 村を裏切る行為であり、捕まったら村八分にされるだろう重大な罪だ。 そして、 私達はその裏切りに荷担している。 私達もただでは済まされない。 私は恐怖で動けなかった。 そんなとき、 「みんな走れっ!!」 佐久助殿が吠えた。