「よう、夜叉姫。元気してた?夜叉姫いた時、一味はかなり力を持ってた軍団だったよな。ねぇ、夜叉姫。鉄パイプの整備、手伝ってくんねぇ?」
私の耳を久しぶりに貫いたのは、高月彼方と言う名の元ヤン。私のいた『夜叉姫一味』に所属していた実力あるヤンキーだった存在だ。
「…彼方?久しぶり。」
私は、悪い子だね、竜矢。竜矢を失ってすぐ、私はヤンキー軍団に入った。端的に言えば、レディースヤンキーになった。軍団一鉄パイプの整備が好きだったり、ドラムを叩けたり、変なヤンキーだったけれど、それでも奴らは受け入れてくれたんだ。私が、レディースヤンキーになろうと思ったのは、強くなって見返したかったってだけの単純な気持ちだった気がする。何か事件があれば、私達のせいにされてしまうような、生活をしていた。「私を怒らせると首が飛ぶ」と町のみんなに思われていて、悪い意味でちやほやされていた。私が不機嫌そうだと思ったら、軍団の誰かが私に喧嘩武勇伝を話す。当時の私には、軍団が必要不可欠だった。
「…夜叉姫様に『彼方』って呼んでもらえるの、すっげー嬉しい。なぁ姫様。俺と付き合ってみない?」
突然頭が真っ白になって、ごめんなさいしか言えなかった。私が、軍団に入ったのは、みんなを見返したかったからなんだよ。彼方に想って貰う資格なんて、最初っから無い。