毎日友達や先生、誰かに合わせて生きるのは窮屈だった。


誰にでも当たり障りのない自分として振る舞うのはーー。


舞台にいる時は役者。しかし一度(ひとたび)舞台を降りれば、空っぽの自分。



今度は、自分のままで生きてみたい。
ーー誰かに合わせることも大事なんだろうけど、でもずっと顔色うかがうような日々なんてごめんだ。





夢じゃない証――夢の中で、ファイがくれたこの鈴。もしかして。もしかしたら、何かを変えてくれるかもしれない。


「……ファイさん、まだいるかな」



慌ててクローゼットから服を取り出す。身支度を手短に済ませ、ファイと出会ったカフェに向かう。