私の道 ―(実話)―

確かにあの時私は、そう願った。




ほんの一瞬でもそう願ったんだ…。





それは紛れもない真実。







「私は落ちるとわかった時に、とっさにお腹をかばったの!!
堕ろしたあなたにはわからないでしょうけどね!!」






刃物で心を傷つけられたようだった。



体より心を傷つけられたほうが痛い。






私だって産みたかったんだよ…


その言葉をぐっと飲み込んだ。




病室に早足でかけてくる足音が聞こえた。






「陸!!」


あすかさんの声に振り向くと陸が息を切らしていた。