旦那様は社長 *②巻*


そうだった。

ここはホテルのスイートルーム。

あたしたち以外、誰も入れないんだ…。


そんなあたしを抱き寄せながら、悠河は優しく言った。


「もう一泊するか?」

「え?」

「ここなら誰にも邪魔されねーしな」

「……何の邪魔?」


首を傾げると、悠河の顔がイヤらしいものに変わった。


「エッチの邪魔」

「はっ!?」


昨日あんなにしたのに、この人まだする気?

完全にあたしは呆れ顔。


「いいだろ?せっかくの新婚初夜なんだし。オレはゆっくりお前を愛したいんだけど?」

「……」

「もっと……お前を感じたい」


……殺し文句だ。


だけど1つだけ引っ掛かるのは……

“初夜”じゃないですよね?あたしたち。


悠河はいつもあたしの2手3手先まで簡単に見抜く。

そしてあたしはいつも、そんな悠河の手の内で転がされてるような……


そんな気がする。


「光姫?」

「……ダメ。今日は帰ろう?」