そうだった。
ここはホテルのスイートルーム。
あたしたち以外、誰も入れないんだ…。
そんなあたしを抱き寄せながら、悠河は優しく言った。
「もう一泊するか?」
「え?」
「ここなら誰にも邪魔されねーしな」
「……何の邪魔?」
首を傾げると、悠河の顔がイヤらしいものに変わった。
「エッチの邪魔」
「はっ!?」
昨日あんなにしたのに、この人まだする気?
完全にあたしは呆れ顔。
「いいだろ?せっかくの新婚初夜なんだし。オレはゆっくりお前を愛したいんだけど?」
「……」
「もっと……お前を感じたい」
……殺し文句だ。
だけど1つだけ引っ掛かるのは……
“初夜”じゃないですよね?あたしたち。
悠河はいつもあたしの2手3手先まで簡単に見抜く。
そしてあたしはいつも、そんな悠河の手の内で転がされてるような……
そんな気がする。
「光姫?」
「……ダメ。今日は帰ろう?」

