「行くか」 「うん……」 手を繋いで一歩一歩と足を進める度に、ギュッと指に力が入った。 「お帰りなさいませ」 玄関の外にズラリと並んだ家政婦さんたちが一斉に頭を下げる。 「ただいま。会長、いる?」 「はい。こちらでございます」 案内された客間であたしたちを待っていたのは、意外な人物だった。