「離れないよ。……何があっても。っていうかもうあたし、悠河と離れるなんて……無理だもん」
「本当か?」
「……うん。どんな罰でも受けるって言ったけど、離婚だけはできない。だから、もしも離婚なんて言われたら、あたしは闘う」
「会長と?」
「そう。それだけは何があっても受け入れられないって、土下座でも何でもする」
「そうか。じゃあ、オレも一緒に付き合ってやる。……だけど、そもそも罰とか許すとか、会長にそんな権限ないだろ。神様でも何でもない、ただの爺さんなんだし」
「しかも悠河そっくりの変態爺さんだしね」
「おい、それは全力で否定するぞ。あんなジジイと一緒にすんな」
クスクスと笑い声が響く社長室。
だけどポスンと大きな音が1つした後、すぐにシーンと静まり返った。
悠河があたしの上からゆっくり頬を撫でる。
「ごめんな……」
「え?」
「普通の男と結婚していたら、きっとこんな苦労、お前がすることなかった」
「悠河……」
そんな顔しないで。
悠河が有栖川家の人間なのも、この会社の社長なのも、全部そういう運命なんだから。
「どんな苦労をしても……、それでもあたしは、悠河と一緒にいる未来を選びたい」
どんな苦しみも。
どんな胸の痛みも。
悠河がこうして一緒に背負ってくれるから……
あたしは何度だって立ち上がれる。

