旦那様は社長 *②巻*


あたしを守るために必死の悠河。


今まで会長にこんなに盾突いたことなんて一度もない。


それも全て、有栖川のトップに立ちたいがため。


絶対的権力を誇る会長の機嫌を損ねるようなことはできなかった。


だけど、今その立場が危うい状態に傾きかけている。


『なんとしても悠河を守りたい』


この時はその思いだけだった。


「会長、お願いがあります」

「……」

「会長がお怒りになられるのも無理はありません。私には、大切な跡継ぎをなくしてしまった責任があると思っています」


「おい、光姫……?」


『何を言うつもりだ』とばかりに顔を歪める悠河。


最悪の展開を思い浮かべているのかもしれない。


あたし自身も、次の言葉を口にした時、何が起きるか分からない。


だけど今あたしがしなきゃいけないことはきっと……。


悠河を守る手段はきっと、これしかないから……。




「会長の……ご意思に従います。……どんな罰でも、甘んじて受けます」