あたしを守るために必死の悠河。
今まで会長にこんなに盾突いたことなんて一度もない。
それも全て、有栖川のトップに立ちたいがため。
絶対的権力を誇る会長の機嫌を損ねるようなことはできなかった。
だけど、今その立場が危うい状態に傾きかけている。
『なんとしても悠河を守りたい』
この時はその思いだけだった。
「会長、お願いがあります」
「……」
「会長がお怒りになられるのも無理はありません。私には、大切な跡継ぎをなくしてしまった責任があると思っています」
「おい、光姫……?」
『何を言うつもりだ』とばかりに顔を歪める悠河。
最悪の展開を思い浮かべているのかもしれない。
あたし自身も、次の言葉を口にした時、何が起きるか分からない。
だけど今あたしがしなきゃいけないことはきっと……。
悠河を守る手段はきっと、これしかないから……。
「会長の……ご意思に従います。……どんな罰でも、甘んじて受けます」

