旦那様は社長 *②巻*


会長が怒るのも当たり前のこと。

曾孫の誕生を、ずっと心待ちにしていたはずだから。


それが、悠河の有栖川グループ相続の絶対条件だったほどに……。


だけど、何不自由ない生活を自ら放棄したのは、紛れもないあたしなんだ。


もしも会長の言う通り、秘書の仕事も辞めて、家事一切を放棄していたとしても、あたしは何も変わらなかったんじゃないかと思う。


自由がきっと苦しくなっていた。

自由が大きなプレッシャーに変わって、あたしの心を押しつぶしていたと思う。


だけど会長にそんなこと言えるはずもなかった。


「光姫さん、キミは悠河に、有栖川を継いでほしくはないのか?」


「そんな!!私は悠河に、有栖川の未来を任せて頂きたいといつも思っています」


「じゃあ、なぜ身体に無理をさせた」


「無理なんか……してません」


「じゃあ、なぜ流産なんかしたんだ」


冷たい視線と冷たい言葉が、容赦なくあたしの全身に降り注ぐ。


『なぜ』と言われて説明できれば、いつまでもこんなに苦しまない。


だけどやっぱり、あたしが悪いんだ……。


こんなに責められたのは初めてで、身体の震えが止まらなくなった。