旦那様は社長 *②巻*


「美姫のお墓、……あたし一度も行ってないから」


ずっと1人で美姫のお墓へ悠河が行っていたことは気付いていた。


時々、フラリといなくなっていつの間にか帰ってくることがある。


ジャケットを受け取る時に微かに香ったお線香の匂い。


美姫に会いに行っていたんだと、すぐに分かった。


あたしには決して言わなかった悠河。

言えなかった悠河。


そう仕向けたのはあたし。


きっと、美姫はあたしと悠河の2人を待ってくれてる。


いつも夢の中であたしに会いに来てくれる美姫だけど、もうあたしは大丈夫だって、心配ないからって、そう言ってあげたい。


悠河はあたしの髪を撫でながら少し不安げに言った。


「大丈夫なのか?」

「うん」

「無理……してるなら……」


悠河の手をギュッと握って首を振り、笑顔で正直な気持ちを伝えた。


「美姫に会いたいの」