ーー敬吾。
直接彼の口から聞いたわけじゃないけれど、あたしの前に現れたことが、今回の悲しい結果を引き起こす原因になったのだと、彼もまた自分を責めているそうだ。
『あんな酷い別れ方をしておいて、また会いたい……なんて願ったりしたから、こんなことに……。オレはいつだって、光姫を不幸にすることしかできない運命なのかもしれない』
そう、藤堂さんに話したのだと。
そんなことない……。
あたしは不幸なんかじゃない。
だってあたしは、こんなにもたくさんの人に愛されているのだから。
そして、あたしと悠河の赤ちゃんも。
あたしたちの赤ちゃんが、あたしのお腹の中で確かに生きていたことを、ほとんどの人が知らない。
あたしと悠河、藤堂さんと敬吾だけが知る事実。
たった数週間しか生きられず、誰も知ることなくたった一人で空へ帰ってしまった赤ちゃん。
……美姫。
その名前も、あたしたち以外誰も知らない。
それをあたしは可哀相だと思っていたけれど、それは間違いだって気づいた。
気づかせてくれた。

