旦那様は社長 *②巻*


敬吾との再会が偶然ではなかったと知った今日。


悠河を思うが故の……

敬吾を思うが故の……


藤堂さんの計らい。


藤堂さんはあたしが流産したきっかけを、自分が作ってしまったんだと思い込んでいる。


だけど話を聞いて芽生えたのは、藤堂さんを責めたい気持ちなんかじゃなかった。


芽生えたのは、言葉に出来ないほどの感謝の気持ち。


赤ちゃんを失ったことは、この先ずっと消せない深い傷になってしまったけれど、それは藤堂さんのせいでも、敬吾のせいでもない。


敬吾のことは、気づかないフリをして記憶を押し込めていただけで、ずっと心の奥深くで燻っていた。


憎しみと悲しみ。

それが敬吾とあたしの思い出。


だけど、敬吾と再会してお互いの気持ちを曝け出したことで、それが幸せな思い出に変わった。


あたしたちは確かに、本気で愛し合っていたのだということが分かったから。


きっとこの先何年経っても、もう過去を振り返って嘆いたりすることはない。


悠河との今に、自信を持って向き合える。


そのきっかけをくれたのは、紛れもなく藤堂さんだ。


悠河だって、きっとあたしと同じ気持ちだから。


藤堂さんがこれ以上心を痛めている姿を見る方が、あたしたちは辛い。