敬吾との再会が偶然ではなかったと知った今日。
悠河を思うが故の……
敬吾を思うが故の……
藤堂さんの計らい。
藤堂さんはあたしが流産したきっかけを、自分が作ってしまったんだと思い込んでいる。
だけど話を聞いて芽生えたのは、藤堂さんを責めたい気持ちなんかじゃなかった。
芽生えたのは、言葉に出来ないほどの感謝の気持ち。
赤ちゃんを失ったことは、この先ずっと消せない深い傷になってしまったけれど、それは藤堂さんのせいでも、敬吾のせいでもない。
敬吾のことは、気づかないフリをして記憶を押し込めていただけで、ずっと心の奥深くで燻っていた。
憎しみと悲しみ。
それが敬吾とあたしの思い出。
だけど、敬吾と再会してお互いの気持ちを曝け出したことで、それが幸せな思い出に変わった。
あたしたちは確かに、本気で愛し合っていたのだということが分かったから。
きっとこの先何年経っても、もう過去を振り返って嘆いたりすることはない。
悠河との今に、自信を持って向き合える。
そのきっかけをくれたのは、紛れもなく藤堂さんだ。
悠河だって、きっとあたしと同じ気持ちだから。
藤堂さんがこれ以上心を痛めている姿を見る方が、あたしたちは辛い。

