旦那様は社長 *②巻*


考えてることなんて、ただ一つ。

これ以上、誰も傷つかないこと。

あたしの大切な人全てが、幸せであること。


これ以上の悲しみなんていらない……。


大切な命を失って深い傷を負ったのは、あたしと社長だけじゃなかった事実。


藤堂さんとそして敬吾も、気づかなかいところで責任を感じ続けていることを知らなかった。


ーー藤堂さんの傷。


『試したんだ、……光姫ちゃんの悠河への気持ち。嫌いになったわけじゃなくて、結婚の約束までしていた昔の恋人が突然目の前に現れたら、光姫ちゃんどうするだろうって思って。佐倉は真面目でいい男だし、一途に光姫ちゃんを思い続けてるようだったから。悠河は昔から女にスレてて、だけど光姫ちゃんだけにはビックリするくらいのめり込んでて、正直心配だった。アイツは誰かに本気になって、傷付いたことないから……。そんな矢先の光姫ちゃんの妊娠。アイツのあんなに幸せそうな顔、一度も見たことなくて、大丈夫だって思えた。だけど……オレが余計な心労を与えて、2人をすれ違わせて、それであんなことに……』


オレのせいだと言って、藤堂さんは何度も固く目を閉じた。


そして最後、俯いたまま呟くようにこう言った。


『悠河は、きっと一生オレを許さない』