旦那様は社長 *②巻*


***


「光姫、どうかしたか?」

「え……?」


振り向くと、心配そうにあたしを見つめる悠河が立っていた。


「電気も点けずに……何かあったのか?」


「ううん、何でもない。お帰りなさい」


ニッコリ微笑んで、悠河の側へ歩み寄った。


いつものように、ジャケットとネクタイ、かばんを受け取って寝室へ運ぼうとすると、腕を掴まれる。


「え?何?」

「何かあったんだろ。様子が変だぞ」


真っ直ぐ見つめられると、後ろめたさで目を逸らしたくなった。


今日藤堂さんから聞いた話は、あたしの中だけに収めておきたい。


「身体の具合……よくないのか?」


もう片方の手であたしのおでこに手を当てて、首をひねる悠河。


「熱はないようだな」

「大丈夫。なんでもないから」

「なんでもなくないだろ。ちゃんと話せよ」

「ホントに何も……」

「光姫」


グイッと顎を持ち上げられた。


「何を考えていた?」