藤堂さんは小さく微笑んで社長椅子に座った。
「悠河には報告してないよ、このことは。……まぁ、もう知ってるみたいだけど。これは単なるオレの好奇心でさ、佐倉がどんな男なのか知りたくて、あいつをオレの秘書にしたんだ。それも無理矢理ね」
やっぱり似たもの同士だ、悠河と藤堂さんは。
「私も無理やり秘書にされたんです。せっかく前の部署、楽しかったのに」
だけどもしもあの時あたしが悠河の秘書になっていなかったら、会長の目に留まることはなかった。
一般人のあたしが悠河の妻になんてなれるわけもなくて……。
だけど今なら、これが運命だって信じられる。
運命だって……信じたい。
「光姫ちゃん」
「え?」
「ごめん。……本当にごめん」
藤堂さんは立ち上がって頭を下げ、何度も何度もあたしに「ごめん」と謝る。
「や、やめて下さい!ダメです、副社長があたしなんかに頭下げるなんて!」
「……いくら謝ったって、オレは許されない」
「さっきから……何のことを言っているんですか?」

