旦那様は社長 *②巻*


今でもずっと、あたしは自分を責めて……

悠河もまた、心の中で自分自身を責め続けている。


お互いにもうそれを口にすることはないけれど、

あたしたちはこれからもきっと、幸せを感じる度に思い出す。


今の幸せの代償を……。


だけどどうして藤堂さんまでもが、あたしたちと同じ苦しみを味わっているの?


「……オレなんだ」

「え?」


悠河と同じで、整いすぎているその容姿。

いつも自信に溢れた仕草と表情。


だけど今日の藤堂さんからは、少しの余裕も感じられない。


「オレ……、知ってた。光姫ちゃんと佐倉のこと」


「え……あたしたちの……?」


「うん。まだ光姫ちゃんと悠河が結婚したばかりの時、悠河に頼まれていたんだ……光姫ちゃんの身辺調査。いくら光姫ちゃんにアイツが惚れていても、有栖川の嫁になるには、特に異性関係をクリアにしておく必要があって……」


知らなかった。

悠河が社内でのあたしのことを、色々調べていたことは知っていたけれど



だけどまさか、遠いアメリカにいた藤堂さんが絡んでいたなんて思いもしなかった。


「あの時、悠河の結婚のことを知っていたのはオレだけだったし、国内外で人脈あったのもオレしかいなくてね。……それで調べてるうちに、佐倉のことを知った。しかも同じ会社だって気づいた時は、本当に驚いたよ」