旦那様は社長 *②巻*


「心配しなくても、今の悠河なら大丈夫。無敵だから」

「無敵?」

「うん。何よりも守りたいものが、いつも側にあるから」


それが意味するものが分かって、嬉しくなって顔が緩んだ。


「だけどオレ……」


藤堂さんの顔が、今にも泣きそうになる。


少しの間、藤堂さんは俯いて静かに目を閉じていた。


あたしはどうすればいいのか分からなくて。


だけど藤堂さんの話が、何かあたしに関係があるような気がして、胸がざわついていた。



「オレ、光姫ちゃんにも……悠河にも……最低なことをしたんだ」

「え……?」


今までの藤堂さんとの時間を思い起こしても、詫びられるようなことなんて一度だってない。


むしろ、あたしは何度だって言いたいのに。

「ありがとう」って、何度も。



「藤堂さん?」

「オレ、ずっと後悔してた。2人の子供があんな結末を迎えたのは……ぜったいオレのせいだって」

「……え」


藤堂さんの口から語られたのは、あたしも悠河も知らない、藤堂さんだけが知る秘密だった。