「心配しなくても、今の悠河なら大丈夫。無敵だから」
「無敵?」
「うん。何よりも守りたいものが、いつも側にあるから」
それが意味するものが分かって、嬉しくなって顔が緩んだ。
「だけどオレ……」
藤堂さんの顔が、今にも泣きそうになる。
少しの間、藤堂さんは俯いて静かに目を閉じていた。
あたしはどうすればいいのか分からなくて。
だけど藤堂さんの話が、何かあたしに関係があるような気がして、胸がざわついていた。
「オレ、光姫ちゃんにも……悠河にも……最低なことをしたんだ」
「え……?」
今までの藤堂さんとの時間を思い起こしても、詫びられるようなことなんて一度だってない。
むしろ、あたしは何度だって言いたいのに。
「ありがとう」って、何度も。
「藤堂さん?」
「オレ、ずっと後悔してた。2人の子供があんな結末を迎えたのは……ぜったいオレのせいだって」
「……え」
藤堂さんの口から語られたのは、あたしも悠河も知らない、藤堂さんだけが知る秘密だった。

