「ごめん、光姫ちゃん」
パタンと社長室の扉を閉めたと同時に、藤堂さんが言った。
とても苦しそうに表情を歪ませて。
やっぱり、あたしの予想は当たっていたのかな?
「まさか、悠河に何か……」
「え?悠河?」
「違うんですか?悠河……ずっとあたしに付き添っていたせいで……」
呆れたように笑う藤堂さん。
「そういうことか。相変わらずだな、光姫ちゃんも悠河も」
「え?」
「自分のことはいつだって後回しでしょ。とっても強く思い合っているんだな、2人は」
今の悠河は確かにそうかもしれない。
何よりもあたしを第一に考えてくれる。
だからこそ、あたしはそれに甘えすぎないように、いつも悠河が正しい未来(みち)を歩んでいけるように、これからもずっと側で支えていくと決めたの。

