2人が瞬きも止めてあたしを見つめる。
「え……何か?」
キョトンとするあたしに、悠河と藤堂さんが同時に笑った。
「久しぶりに見られたな。……オレの好きな、光姫の笑顔」
「おーい、オレの存在無視してそのままキスとかやめてくれよ?」
「ああ、それいいな。ここなら他に誰もいないし」
「だからオレがいるだろ!!」
あたしはクスクス笑いながら、しっかり手で口元を隠した。
そんなあたしを見て、悠河は一瞬不満そうな顔をしたけれど。
「愛してる、光姫。少しずつ……こうして前に進んでいこう。笑顔を増やしていこう。……オレたちのペースで」
そう言ってくれた悠河がとても頼もしく思えて、優しさが心に染みて……涙を誘う。
けっきょくあたしたちはキスをした。
……藤堂さんの目の前で。
また何か言われるかと思ったのに、目を開けて視界に映った藤堂さんは、
『それでいいんだよ』
その穏やかな表情が、あたしたちにそう言ってくれているような気がした。

