旦那様は社長 *②巻*


2人が瞬きも止めてあたしを見つめる。


「え……何か?」


キョトンとするあたしに、悠河と藤堂さんが同時に笑った。


「久しぶりに見られたな。……オレの好きな、光姫の笑顔」


「おーい、オレの存在無視してそのままキスとかやめてくれよ?」


「ああ、それいいな。ここなら他に誰もいないし」


「だからオレがいるだろ!!」


あたしはクスクス笑いながら、しっかり手で口元を隠した。


そんなあたしを見て、悠河は一瞬不満そうな顔をしたけれど。


「愛してる、光姫。少しずつ……こうして前に進んでいこう。笑顔を増やしていこう。……オレたちのペースで」


そう言ってくれた悠河がとても頼もしく思えて、優しさが心に染みて……涙を誘う。


けっきょくあたしたちはキスをした。


……藤堂さんの目の前で。


また何か言われるかと思ったのに、目を開けて視界に映った藤堂さんは、

『それでいいんだよ』


その穏やかな表情が、あたしたちにそう言ってくれているような気がした。