旦那様は社長 *②巻*


「ふん。周りがどう思おうが、オレたちはオレたちだ」


そう……

悠河のその言葉であたしも救われる。


あたしたちはあたしたちなんだから。

周りに左右される必要なんてまったくない。


「ちげーよ。その逆」

「逆?」

「そう。会社での2人が、あまりにも“社長”と“秘書”すぎて、愛のない結婚だって思う人間が多かったんだよ」


あたしと悠河は思わず顔を見合わせる。


「悠河に憧れる社員は多いし、光姫ちゃんを狙う男も多い。そういう社員たちが言い出したことだろ。愛のない結婚なら、まだ自分たちにもチャンスがある……って?」


「そんな風に考える人……いるんですね」


「だからオレは言っただろ。人の目ばかり気にするなって。だいたい、会社で妻に手を出して何が悪い」


「……いや、それはさすがにやりすぎだろ」


「なんでだよ。お前がオレでもぜったい触るだろうが」


また子供みたいな言い合いが再開。


大企業の社長と副社長とは思えない、ぜったいに他人には聞かせられない言葉だ。


「……ふッ」


あまりにもその光景が面白すぎて、自然と笑みが漏れた。


「「光姫……」ちゃん」