「ふん。周りがどう思おうが、オレたちはオレたちだ」
そう……
悠河のその言葉であたしも救われる。
あたしたちはあたしたちなんだから。
周りに左右される必要なんてまったくない。
「ちげーよ。その逆」
「逆?」
「そう。会社での2人が、あまりにも“社長”と“秘書”すぎて、愛のない結婚だって思う人間が多かったんだよ」
あたしと悠河は思わず顔を見合わせる。
「悠河に憧れる社員は多いし、光姫ちゃんを狙う男も多い。そういう社員たちが言い出したことだろ。愛のない結婚なら、まだ自分たちにもチャンスがある……って?」
「そんな風に考える人……いるんですね」
「だからオレは言っただろ。人の目ばかり気にするなって。だいたい、会社で妻に手を出して何が悪い」
「……いや、それはさすがにやりすぎだろ」
「なんでだよ。お前がオレでもぜったい触るだろうが」
また子供みたいな言い合いが再開。
大企業の社長と副社長とは思えない、ぜったいに他人には聞かせられない言葉だ。
「……ふッ」
あまりにもその光景が面白すぎて、自然と笑みが漏れた。
「「光姫……」ちゃん」

