好きなだけじゃダメなんだ……。
愛があるだけじゃ……。
名家に嫁ぐということの度重なる重圧も、日に日に増していって……。
──疎外感。
ただこれだけだった。
悠河を愛しているのに、このまま側にいる資格があたしにあるのかって、随分悩んだこともある。
そんな矢先の妊娠。
予感をしていた時は、不安と常に隣り合わせ。
だけど実際、本当にお腹に新しい命が芽生えたんだって知らされた時は、ただ喜びに変わった。
悠河と本当の夫婦になれたんだ。
有栖川家の人間になったんだ。
美姫を守って、無事にこの世に誕生させることが、いつの間にかあたしの夢で生き甲斐になっていた。
「ごめんなさい……」
またボロボロと涙がこぼれ落ちてくる。
悠河は突然身体を起こし、
「……え?」
あたしの腕を引っ張って膝の上に乗せた。
真剣な目であたしを真っ直ぐ見据える。
思わずゴクリと喉が鳴った。

