旦那様は社長 *②巻*


好きなだけじゃダメなんだ……。

愛があるだけじゃ……。


名家に嫁ぐということの度重なる重圧も、日に日に増していって……。


──疎外感。


ただこれだけだった。


悠河を愛しているのに、このまま側にいる資格があたしにあるのかって、随分悩んだこともある。


そんな矢先の妊娠。

予感をしていた時は、不安と常に隣り合わせ。


だけど実際、本当にお腹に新しい命が芽生えたんだって知らされた時は、ただ喜びに変わった。


悠河と本当の夫婦になれたんだ。

有栖川家の人間になったんだ。


美姫を守って、無事にこの世に誕生させることが、いつの間にかあたしの夢で生き甲斐になっていた。


「ごめんなさい……」


またボロボロと涙がこぼれ落ちてくる。


悠河は突然身体を起こし、

「……え?」

あたしの腕を引っ張って膝の上に乗せた。


真剣な目であたしを真っ直ぐ見据える。


思わずゴクリと喉が鳴った。