旦那様は社長 *②巻*

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「心臓が止まりかけた」

「……ごめんなさい」

「そんな身体でお前に何かあったらって……」

「悠河……」


胸の中の悠河を両腕で包んで、その頭を優しく引き寄せた。


悠河も、もうぜったいにあたしを離さないと言っているかのように、背中に回した腕の力を緩めようとはしない。


体勢を整えようと身体を少し動かしただけで、

「……ッ」

ギュッとその力が強まる。


「悠河、もう行かないから。どこにも……」


こんな少しのことで過敏に反応させてしまうなんて……、悠河の心をどれだけ傷つけてしまったのか、改めて思い知らされた。


「ごめんね、悠河」

「……」

「あたし……美姫がいなくなって、これから何を支えにすればいいんだろうって……。悠河にあわせる顔がないって……そう思ったの」


どれだけ悠河が美姫の誕生を心待ちにしていたか知ってる。


それに、美姫がお腹にいるって分かる前、有栖川家の人間としてうまくやっていけるのかって、あたしはそんな不安でいっぱいだった。