静かに扉が閉められた瞬間、身体が勝手に反応した。
「そのまま寝ていろ」
「……ッ」
たった数時間会わなかっただけなのに、もう何日も会っていなかったような気分になる。
とても会いたかった人。
今すぐ抱きしめてほしかった人。
今すぐ抱きしめてあげたかった人。
今のあたしの、全ての人。
「ごめんなさい……」
言いたい言葉はコレじゃないのに。
涙が止まらなくて、呼吸が苦しい……。
だけどその腕に抱かれた瞬間、大好きな香りに包まれた瞬間、溢れだしたのはたった1つの言葉。
「愛してる」
どんどん近づく、2人の距離。
「愛してる……悠河」
いつものように『オレも』と言ってくれなかったけれど、ちゃんとあたしの中に届いた。
いつも広くて逞しい背中が、震えながらあたしに伝えてくれた。
どれだけ悠河が、今あたしを必要としているかということを。
「やっと見えた。……悠河の気持ち」
抱きしめられているのはあたしのはずなのに、なんだか今は、あたしが悠河を抱きしめているみたいだ。
だって……
「やっと泣いた……悠河が……あたしの前で──」

