旦那様は社長 *②巻*


許されるとか許されないとか、その時のあたしにはもう、そんなことぜんぜん頭になかった。

思うのは、

“行かなきゃ──…”


ただそれだけ。


──ガタン。


「光姫さん!無理よ、その身体じゃ!!」


体力が完全に回復していない今のあたしは、一歩を踏み出すことさえ難しい。

だけど今行かなきゃいけない気がするの。


悠河が心配だから……。


「社長。……あたし、本当は悠河の側にいたいんです」


「うん」


「悠河から預かった大切な命……あたしはなくしてしまったけれど……、もしもう一度、悠河の側にいることを許してもらえるなら──」


「一生離れないでいてあげて」


一條社長は美海さんの肩を抱きながら優しく微笑んだ。


「これから先も、きっと光姫さんは自分を責める日があると思う。だけどそれは、悠河さんも同じはずだから。その時は今の気持ちを思い出して、悠河さんに伝えてあげて。……大丈夫、本当の夫婦なら、乗り越えられるから。……何度だって」


そう言うと、一條社長はあたしの身体をフワリと抱き上げた。


「え?」


あたしの身体をベッドに戻し、頭を撫でる。



「もう少し──」


「……え?」