「さっき……」
「え?」
「さっき光姫さんが言った旦那様の言葉って……、“光姫の側にいたいんだ”って言葉の意味、本当に光姫さんのためなのかしら?」
「……美海さん?」
「光姫さんのためっていうのももちろん嘘じゃないと思うわ。だけど……」
美海さんがあたしに何を伝えようとしてくれているのか分からない。
そんなあたしに答えをくれたのは、やっぱりこの人だった。
「それはきっと、悠河さん自身が光姫さんに側にいてほしかったんじゃないかな」
「……ッ!一條社長!!」
立ち上がろうとしたあたしに、一條社長は手をあげてそれを止める。
「今、悠河さんは誰よりも光姫さんを望んでる。側にいたいよりもきっと……側にいてほしいんだよ、キミに。……キミがいるから、強くいられるんじゃない?
我が子を失う悲しみって、正直オレにはどれほどの苦しみか分からない。オレには娘が2人いるけれど、幸いにもスクスク育ってくれているから。だから軽はずみなことは言えない。
だけど、その娘が突然いなくなったらって思うと……正気を保ってられる自信、オレにはないよ──」

