旦那様は社長 *②巻*


パパになるんだという事実を知らされた時、悠河は顔を真っ赤にしながら、その端正な顔がクシャクシャになるくらい泣いて喜んだ。


「あたし、まだ悠河の妻でいていいかな……」

「当たり前でしょう?」

「あたし……まだ夢を見ていいかな?」

「夢?」

「もう一度、美姫を授かりたい。……分かってる。もしまた命を授かることができても、それは美姫とは違うってこと。だけど──」


美海さんが天使のように微笑んで、あたしのお腹に触れた。


「美姫ちゃんと同じ、温かい心を持って来てくれるわよ。きっとまた感じられる、優しい温もり。光姫さんは母親として美姫ちゃんに選ばれたんだから、もっと自信持って?きっとまた帰ってくるから」


「悠河は、こんなあたしを許してくれるかな?……まだ望んでくれるかな?」


「許さないって、そう言われたの?」


「ううん。だけどあたし──」
「光姫さんは勘違いしてる」


また後ろ向きな言葉が口をついて出そうになった時、美海さんがそれを素早く阻止した。


だけど不安なの……。

悠河の本心が、今のあたしには分からない。


見えないの。

悠河の心が。