パパになるんだという事実を知らされた時、悠河は顔を真っ赤にしながら、その端正な顔がクシャクシャになるくらい泣いて喜んだ。
「あたし、まだ悠河の妻でいていいかな……」
「当たり前でしょう?」
「あたし……まだ夢を見ていいかな?」
「夢?」
「もう一度、美姫を授かりたい。……分かってる。もしまた命を授かることができても、それは美姫とは違うってこと。だけど──」
美海さんが天使のように微笑んで、あたしのお腹に触れた。
「美姫ちゃんと同じ、温かい心を持って来てくれるわよ。きっとまた感じられる、優しい温もり。光姫さんは母親として美姫ちゃんに選ばれたんだから、もっと自信持って?きっとまた帰ってくるから」
「悠河は、こんなあたしを許してくれるかな?……まだ望んでくれるかな?」
「許さないって、そう言われたの?」
「ううん。だけどあたし──」
「光姫さんは勘違いしてる」
また後ろ向きな言葉が口をついて出そうになった時、美海さんがそれを素早く阻止した。
だけど不安なの……。
悠河の本心が、今のあたしには分からない。
見えないの。
悠河の心が。

