『あの子はオレたちに教えるために来てくれたんだ。……命の重み、愛することの意味。
尊いけれど限りある命だからこそ、オレたちは全力で愛さなきゃいけないし、愛されなきゃいけないってこと。
美加、あの子はきっとオレたちのこと、空から見てるよ。オレたちの幸せを願ってる。
無理やり結婚させられたオレたちだけど、今度こそ心から愛し合えた時、きっともう一度あの子は来てくれる。オレはそう信じたい──』
「母はね?その時初めて思ったんだって。
“もう一度頑張ろう。この人を父親にしてあげよう”
って」
そうだ……、あたしもあの時、同じことを美姫に願った。
“悠河を父親にしてあげて”
もう自分の価値はないものだと思った。
……女としても。
……妻としても。
あたしの人生終わったみたいに、絶望しか感じられなかった。
だけど。
まだ希望を持ってもいいのかな……?
これからの人生に。
あたしは悠河の、あの時と同じ笑顔をもう一度見たい。
『パパになる感想は?』

