旦那様は社長 *②巻*


いつもと違う、母親の声だ。

優しくて温かくて、そしてどこか柔らかさが加わった穏やかな声。


また美姫のことを考えてしまいそうになった時、ドアが開いて里海ちゃんが飛び込んできた。


「光姫お姉ちゃん!起きれる?」

「え?」

「ママがね、スープ作ったの。ちっちゃな野菜がたっくさん入ってるよ」

「ちっちゃな野菜?」


なんだろうと思っていたら、美海さんがクスクス笑いながら部屋に入ってきた。


「里海、それじゃ分からないでしょ?」

「えー?でもちっちゃいよ」


美海さんがローテーブルにマグカップを置き、その中身を確認してようやく意味が分かった。


「光姫さん、やっぱり何か口に入れた方がいいから」

「コロコロ野菜スープだよ」


里海ちゃんが得意気に言う。


「コロコロ野菜スープ?可愛い名前だね」

「ママがつけたの」

「ママが?」


美海さんを見ると、恥ずかしそうに少し頬を赤く染めながら教えてくれた。