いつもと違う、母親の声だ。
優しくて温かくて、そしてどこか柔らかさが加わった穏やかな声。
また美姫のことを考えてしまいそうになった時、ドアが開いて里海ちゃんが飛び込んできた。
「光姫お姉ちゃん!起きれる?」
「え?」
「ママがね、スープ作ったの。ちっちゃな野菜がたっくさん入ってるよ」
「ちっちゃな野菜?」
なんだろうと思っていたら、美海さんがクスクス笑いながら部屋に入ってきた。
「里海、それじゃ分からないでしょ?」
「えー?でもちっちゃいよ」
美海さんがローテーブルにマグカップを置き、その中身を確認してようやく意味が分かった。
「光姫さん、やっぱり何か口に入れた方がいいから」
「コロコロ野菜スープだよ」
里海ちゃんが得意気に言う。
「コロコロ野菜スープ?可愛い名前だね」
「ママがつけたの」
「ママが?」
美海さんを見ると、恥ずかしそうに少し頬を赤く染めながら教えてくれた。

