「泣いてないよ?里海ちゃん、ずっとここにいてくれたの?」
「うん!!」
「そっか。ありがとう」
里海ちゃんは「えへへー」と可愛く笑った後、急に立ち上がった。
「あッ!忘れてた!!」
「え?」
「あのね、ママに言われたの。光姫お姉ちゃんが起きたら教えてって」
「ちょっと待ってて!」と言って、里海ちゃんは部屋を飛び出していく。
子供らしく表情がクルクル変わる里海ちゃんは、見ていて飽きない。
本当に可愛い……。
きっと自分の子供なら、その可愛さも倍なんだろうな……。
また美姫のことを考えてしまった。
実際に美姫を見たことなんてないのに、ハッキリ頭の中で顔が浮かんでくるのはどうしてだろう。
目元はあたしに似ていて……口元や顔の輪郭は悠河に似ていて……。
もう美姫には二度と会えないのに。
涙がこぼれ落ちそうになって、指で拭った。
もうすぐ美海さんと里海ちゃんが来るから、涙は見せられない。
ちょうどその時、パタパタという足音が近づいてくるのが聞こえた。
そして優しい美海さんの声。
「里海、転けないでよ?」
「はーい」

