旦那様は社長 *②巻*


次に気がついた時、知らない部屋で横になっていた。

スイートルームみたいに広くて開放的で、アロマの香りが気分を落ち着かせてくれる。


「ここ……」


一生懸命記憶を辿る。

だけど、答えに行き着く前に誰かが教えてくれた。


「ここはお客様が来た時の部屋だよ」

「……え?」


視界には誰もいないのに、確かに聞こえてくる声。


「光姫お姉ちゃん、大丈夫?」


左耳から聞こえる声の主を確かめようと顔を向けた。


ベッド横の椅子に、小さな女の子の姿。

目がクリクリッとした、まだ子供なのにキレイな顔立ちのこの子は……


「もしかして、里海ちゃん?」


その女の子は、あたしの質問にニッコリ笑顔を返してくれた。

海里社長にも美海さんにも、どちらにも似ている。


本当に2人の子供なんだって改めて思った。

2人の大切な愛の結晶。


美姫もちゃんと生まれて大きくなっていたら、里海ちゃんみたいに思われていたかな。


『パパとママ、どっちにも似てるね』って。


「光姫お姉ちゃん、泣いてるの?」


小さな里海ちゃんが、すごく不安そうな顔をしてあたしを見ている。