次に気がついた時、知らない部屋で横になっていた。
スイートルームみたいに広くて開放的で、アロマの香りが気分を落ち着かせてくれる。
「ここ……」
一生懸命記憶を辿る。
だけど、答えに行き着く前に誰かが教えてくれた。
「ここはお客様が来た時の部屋だよ」
「……え?」
視界には誰もいないのに、確かに聞こえてくる声。
「光姫お姉ちゃん、大丈夫?」
左耳から聞こえる声の主を確かめようと顔を向けた。
ベッド横の椅子に、小さな女の子の姿。
目がクリクリッとした、まだ子供なのにキレイな顔立ちのこの子は……
「もしかして、里海ちゃん?」
その女の子は、あたしの質問にニッコリ笑顔を返してくれた。
海里社長にも美海さんにも、どちらにも似ている。
本当に2人の子供なんだって改めて思った。
2人の大切な愛の結晶。
美姫もちゃんと生まれて大きくなっていたら、里海ちゃんみたいに思われていたかな。
『パパとママ、どっちにも似てるね』って。
「光姫お姉ちゃん、泣いてるの?」
小さな里海ちゃんが、すごく不安そうな顔をしてあたしを見ている。

