車が静かに走り出す。
だけど美海さんは何も言わなかった。
ただあたしに肩を寄せ、優しく包み込んでくれていた。
美海さんもとても温かい。
まるで悠河に包まれているみたいに安心する。
きっと2人とも、とても優しい心の持ち主だから。
「何も聞かないの?」
独り言のように呟くと、美海さんも囁くように答えた。
「無理に聞き出したりしないから安心して。だけど……」
「だけど?」
「あたしに話したいって思ったら、いつでも言って?ぜったい力になるから」
「美海さん……」
鼻の奥がツーンと痛くなってきた。
また涙が溢れてしまいそう。
「ずっと側にいるから。光姫さんがいいって言うまでずっと。……迷惑じゃなければ」
そう言ってほんの少し笑った。
迷惑なわけがない。
美海さんに会わなければ、あたしはあの後どうなっていたか分からない。
「……光姫さん、痩せた?」
「……」
「ちゃんとご飯、食べれてる?」
首をフルフルと左右に小さく振った。
「そう。でも何か食べた方が……」
もう一度首を振る。
「……分かったわ。まだもう少し家まで時間かかるから、眠って?」
まるで催眠術にでもかかったかのように、その言葉を最後に急に意識が遠のいた。

