旦那様は社長 *②巻*


「光姫さん!どうしたの!?気分悪いの!?」


美海さん、どうしてこんなに顔を真っ青にしているんだろう。


……ああ、そうか。

美海さんは何も知らないんだ。


きっと、まだあたしのお腹に赤ちゃんがいるんだって思ってる。


「お腹が痛むの!?今すぐ病院──」
「ダメッ!!」


突然叫んだからか、美海さんが目を見開いて驚いた。


そんな美海さんの細い腕を掴みながら、涙目で訴える。


「お願い美海さん……病院には知らせないで……」

「だけど」

「お願い……お願い、美海さん」

「光姫さん……」


理由を言えば、きっと今すぐ病院へ逆戻りさせられる。

それじゃあダメなの。


「とりあえず、うちに来て?光姫さん、顔が真っ青だわ」


立てる?と言いながら美海さんがあたしの身体を支えようとした時、車の運転席からガタイのいい男性が慌てて飛び出してきた。


「美海様、ここは私が」

「ありがとう。左肩を支えてくれる?」


2人に身体を支えられながら、真っ黒く光るベンツへと向かう。


後部座席のドアが開かれ、あたしの身体を支えながら美海さんも乗り込んだ。