「光姫さん!どうしたの!?気分悪いの!?」
美海さん、どうしてこんなに顔を真っ青にしているんだろう。
……ああ、そうか。
美海さんは何も知らないんだ。
きっと、まだあたしのお腹に赤ちゃんがいるんだって思ってる。
「お腹が痛むの!?今すぐ病院──」
「ダメッ!!」
突然叫んだからか、美海さんが目を見開いて驚いた。
そんな美海さんの細い腕を掴みながら、涙目で訴える。
「お願い美海さん……病院には知らせないで……」
「だけど」
「お願い……お願い、美海さん」
「光姫さん……」
理由を言えば、きっと今すぐ病院へ逆戻りさせられる。
それじゃあダメなの。
「とりあえず、うちに来て?光姫さん、顔が真っ青だわ」
立てる?と言いながら美海さんがあたしの身体を支えようとした時、車の運転席からガタイのいい男性が慌てて飛び出してきた。
「美海様、ここは私が」
「ありがとう。左肩を支えてくれる?」
2人に身体を支えられながら、真っ黒く光るベンツへと向かう。
後部座席のドアが開かれ、あたしの身体を支えながら美海さんも乗り込んだ。

