旦那様は社長 *②巻*


分かってる。

ただ逃げてるだけだって。

だけど辛いの。

悠河の側にいることが……。


悠河の顔を見ると、涙が溢れる。


“そんな顔をさせてごめんなさい”

って、自分を責めずにはいられない。


なんの宛もなく、ただ道路に沿って歩いた。


これからどうしよう……。


あたしにはもう、悠河と暮らすマンションしか帰るとこはない。

頼れる親も兄弟もいない。


あたし、本当に一人ぼっちなんだ……。


そう思うと足が止まった。


その場にうずくまると、車のクラクションとあたしの名前を呼ぶ声が聞こえてきた。


「光姫さん!!」


顔をあげて声の主を確かめようとしても、涙で視界が歪んで見えない。


だけど車を降りてその人が近づいてきた時、やっと気づいた。


「美海さん……」