分かってる。
ただ逃げてるだけだって。
だけど辛いの。
悠河の側にいることが……。
悠河の顔を見ると、涙が溢れる。
“そんな顔をさせてごめんなさい”
って、自分を責めずにはいられない。
なんの宛もなく、ただ道路に沿って歩いた。
これからどうしよう……。
あたしにはもう、悠河と暮らすマンションしか帰るとこはない。
頼れる親も兄弟もいない。
あたし、本当に一人ぼっちなんだ……。
そう思うと足が止まった。
その場にうずくまると、車のクラクションとあたしの名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
「光姫さん!!」
顔をあげて声の主を確かめようとしても、涙で視界が歪んで見えない。
だけど車を降りてその人が近づいてきた時、やっと気づいた。
「美海さん……」

