どんなに泣いても、悲しみは消えない。
心も身体も、傷は癒せない。
だけどあたしがどんなに泣いても、悠河は一度も涙を見せなかった。
悲しくないはずがないのに。
あたしが眠っていた3日の間に、もう泣きはらしてしまったんだろうか?
あんなにも美姫の無事を確認するまでは怯えていたのに……。
もう無理しなくていいんだよ?
一緒に泣いてかまわないから。
だってもう、美姫はいない。
悠河が気丈に振る舞う度、あたしの悲しみは増すばかりだった。
だって背中が泣いている。
悠河はあたしの前では泣けないの?
あたしがこんなに泣いてばかりいるから……。
あたしが泣けば悠河の顔は切なく歪む。
辛いけれど……
胸が張り裂けそうって、こういうことをいうのかってくらい激しく痛むけれど……
悠河の前で泣くのは、今日で最後にしようと決めた。
これ以上あたしの大切な人を悲しませないために……。

