旦那様は社長 *②巻*


どんなに泣いても、悲しみは消えない。

心も身体も、傷は癒せない。


だけどあたしがどんなに泣いても、悠河は一度も涙を見せなかった。


悲しくないはずがないのに。

あたしが眠っていた3日の間に、もう泣きはらしてしまったんだろうか?


あんなにも美姫の無事を確認するまでは怯えていたのに……。

もう無理しなくていいんだよ?

一緒に泣いてかまわないから。


だってもう、美姫はいない。


悠河が気丈に振る舞う度、あたしの悲しみは増すばかりだった。

だって背中が泣いている。


悠河はあたしの前では泣けないの?

あたしがこんなに泣いてばかりいるから……。


あたしが泣けば悠河の顔は切なく歪む。


辛いけれど……

胸が張り裂けそうって、こういうことをいうのかってくらい激しく痛むけれど……


悠河の前で泣くのは、今日で最後にしようと決めた。


これ以上あたしの大切な人を悲しませないために……。