信じよう。
きっと大丈夫だから。
奇跡を信じて診察台に上る。
その間、ずっと悠河は手を握ってくれていた。
先生の診察が始まると、その手の力はどんどん強くなる。
怖くなってきつく目を閉じると、悠河が優しく頭を撫でてくれた。
「悠河?」
あたしの呼びかけに、悠河は笑顔で答える。
それだけで胸がいっぱいになって涙が溢れた。
悠河が側にいてくれてよかった。
心の底からそう思える。
だけど……
奇跡を信じたあたしたちに告げられたのは、残酷な現実だった。
「やっぱり……聞こえないわ」
聞こえない?
美姫はやっぱり、返事をしてくれないの?
あたしたちに奇跡は起こらない?
どうして……
どうしてなの……?
「美姫……」
だんだんと意識が朦朧としてきて、あたしは静かに目を閉じた。
「光姫!?光姫──ッ」
必死にあたしの名前を呼ぶ悠河の声が聞こえる。
だけどあたし。
もう起きたくない……。
ごめんね悠河。
ごめんね……美姫……。

