「早くしろ」
シャンパングラスを片手に、悠河があたしの次の言葉を待ってる。
……って、小指が若干浮いてる?
散々悩んだけれど、遂にあたしは観念して口を開いた。
「あのね、あたしが子供をまだ作りたくない理由ってもう1つあるの」
「もう1つ?」
早く言えよ、と言わんばかりに悠河の眉毛がピクンと動く。
「うん。……あのね、あたしたちってつい最近……本当の夫婦になったばかりでしょ?」
「ヤったかってこと?」
人がせっかく言葉を濁したのにこの男は……。
「ま、まぁそんなとこ。……でね?今あたしたちってラブラブでしょ?」
「まぁな。1日何回ヤってんだろうな?オレたちって」
だから、なんですぐそっちの方向へ持っていくんだろう?この人は。
「はぁぁ……」
思わずついてしまった溜め息は深い。

