エレベーターは5階に止まったまま。
悠河もまだ動かない。
「怖いよ、情けねーけど。あれだけ“信じろ”とか言っておきながら……」
「悠河……ごめんね……」
昨日から何度口にしたかな。「ごめん」って言葉を。
だけど、何度言っても足りないんじゃないかって思う。
「謝るな、光姫。何度も言っただろ?お前は悪くない」
「だって……」
悠河をこんなにも不安にさせているのはあたしだよ。
「誤解するなよ。光姫」
「え……」
「オレが怖いのは美姫のこともあるけど、それより……」
ジッとあたしを見下ろす悠河。
そしてとても真剣な顔で言った。
「もし万が一……美姫に何かあった時」
悠河の喉仏がゴクンと上下する。
“もしも”の話なのに、なんだか今のあたしたちには現実味があって胸が痛い。
だけど一生懸命悠河が何かを伝えようとしてくれている。
あたしはただ黙って悠河の目を見つめた。
「光姫が苦しむ姿を見るのが怖い」

