ごめんなさい。
美姫が、美姫が……!!
ギュウッともっと強く悠河にしがみつく。
「美姫は……無事か?」
悠河の声も微かに震えていて。
それでもあたしのために気丈に振る舞おうとしているんだとすぐに気づいた。
「……分からない……」
そう言った瞬間、髪を撫でる悠河の手が止まる。
「そうか……」
たった一言。
それ以上悠河は何も言わなかった。
だけど。
「悠河…ッ」
頭に置かれた悠河の手が小刻みに震えている。
それだけで十分だ……。
あたしの涙を誘導するのは。
顔を上げられない。
見れないよ……。
今悠河がどんな顔をしているかなんて。
それは……
あたしがさせている顔なんだから。
それでもあたしは伝えなきゃいけないの?
今の悠河に。
この残酷な現実を。
「聞こえないって。……美姫の心臓の音」

