旦那様は社長 *②巻*


「え……なんで?」

「どれだけ近くでお前を見てきたと思ってんだ」

「……」

「何かあったんだろ?」


やっぱり悠河は何でも分かってしまうんだね……。

だけど、その顔を見たら余計に言えないよ。


「そんな不安そうな顔しないで?美姫は順調に育ってるって、先生が」

「じゃあ……」

「貧血があまりにヒドイから注意しなさいって言われたの」

「……そうか」


完全に納得しきれていない。

そんな表情だった。


だけど悠河はそれ以上の答えを求めようとはせず、ただ黙ってあたしを胸に抱き寄せ、髪の毛を撫でていた。

その指使いがなんだかとても切なくて、胸がキューッと苦しくなる。


あたしは間違っているんだろうか。

もう秘密を作らないと約束したばかりなのに、今また同じ過ちを繰り返そうとしているの?


分からない……

どうすればいいのか。


「光姫?」

「え?」

「何で……泣いて……」


ハッと両手で頬を触ると冷たい涙に濡れていた。