「ただいま」
「おかえりなさい」
いつもより早く帰宅した悠河を笑顔で出迎える。
検診結果がよっぽど気になるのか、定期検診の日はいつもこうして早く帰宅する。
おそらく、藤堂さんに無理を言っているんだろうけど……。
キスをして目が合うと、「きゃっ」また悠河にお姫様抱っこされた。
これは毎日の変わらない日課。
悠河はいつもこう言う。
『歩くな!走るな!転ぶな!』
赤ちゃんに何かあったら大変だって。
歩くなと言われても、もちろんそれが無理だってことくらい分かっていると思うけれど。
だからこうして悠河が側にいる時は、無条件で抱き上げられる。
「重いでしょ」
「いや、これで2人分とは思えない。軽すぎだ」
「心配しなくても、もう少ししたら逆に太るよきっと」
「そうでなければ困る」
フッと笑った悠河の顔に思わずキスをしてしまった。
『ごめんね……あたしのせいで美姫が……』
そんな謝罪の気持ちからの行動だった。

