旦那様は社長 *②巻*


「うぅ……ッ」


言えない。

ぜったい悠河に言えない……。


──『明日、悠河くんも来れるかしら?』


先生ごめんなさい。

あたし、悠河を連れていけそうもありません。

今はまだ……

言えない。


だってまだ希望が持てるのなら、“もしも”のことなんて考えない。

悠河にも考えてほしくない。


「美姫……ママ信じてるよ?」


明日はちゃんと教えてね。

『ママ、ここにいるよ』って。


もう泣くのは止めよう。

あたしの思いはきっと美姫に伝わるって信じてる。


両手で涙を拭い、涙の筋がクッキリ残る頬をファンデーションで隠した。


“泣いていた”


悠河にそう悟られないように。


だって。


悠河は誰よりも敏感にあたしの異変を感じ取ってしまうから──…