旦那様は社長 *②巻*


やっと見え始めていた希望の光が消えてしまう……。

今のあたしと悠河にとって、赤ちゃんが2人の未来そのものだった。


顔を上げると、2人の寝室を少しずつ侵食していたベビーグッズが目に入る。


──『ちょっ、何なのよ!?コレは!!』

──『ん?いいだろう。特別に作らせた、高級フランス製ベビーベッドだ』

──『まだ用意するには早すぎでしょう!?……って、コレも!!』

──『それはベビーカー。もちろん特注』

──『なッ!?』

──『後は……そうだな。家庭用ジャングルジムでも買うか』


──『こんの……大バカーッ!!』


ベビーベッド、揺りかご、ベビーカー。

そして……


──『ねぇ、これは何?』

──『可愛いだろ』

──『可愛いけど、なんでピンク色の服ばっか?』

──『だって美姫だし』

──『男の子だったらどうすんのよ!!』

──『だったら次に女の子を生めばいい』

──『……ッ!!』


思い出すのは幸せな会話と、幸せそうに笑う悠河の顔。