やっと見え始めていた希望の光が消えてしまう……。
今のあたしと悠河にとって、赤ちゃんが2人の未来そのものだった。
顔を上げると、2人の寝室を少しずつ侵食していたベビーグッズが目に入る。
──『ちょっ、何なのよ!?コレは!!』
──『ん?いいだろう。特別に作らせた、高級フランス製ベビーベッドだ』
──『まだ用意するには早すぎでしょう!?……って、コレも!!』
──『それはベビーカー。もちろん特注』
──『なッ!?』
──『後は……そうだな。家庭用ジャングルジムでも買うか』
──『こんの……大バカーッ!!』
ベビーベッド、揺りかご、ベビーカー。
そして……
──『ねぇ、これは何?』
──『可愛いだろ』
──『可愛いけど、なんでピンク色の服ばっか?』
──『だって美姫だし』
──『男の子だったらどうすんのよ!!』
──『だったら次に女の子を生めばいい』
──『……ッ!!』
思い出すのは幸せな会話と、幸せそうに笑う悠河の顔。

