いつもと違う先生の様子に不安を覚える。

無言で、少し険しい顔。


直感的に感じ取ってしまった。


赤ちゃんに、何かが起きていることを──…


「先生……」


震える手をギュッと握りしめる。


先生は閉じていた目をゆっくり開けて、ハッキリとした声で言った。


「聞こえないわ」

「……え?」


「赤ちゃんの心音が」


息が止まりそうになった。

ううん、おそらく止まっていた。


悪い予感は、どうしてこういつも的中してしまうんだろう……。


「先生……赤ちゃんは……」

「……明日、もう一度確認してみましょう?」

「……」


『大丈夫よ』って言ってほしかった。

『赤ちゃん、きっと今寝てるのね』って笑ってほしかった。


「明日、悠河くんも一緒に来られるかしら」

「なんで……」

「え?」

「なんで悠河も……?」

「光姫さん……」


困らせてしまった。


そんなこと、今のこの状況で聞くまでもないのに……。