言えるわけない……。

『早く』とか、ましてや『ほしい』なんて、そんなの死んでも無理!!


可愛くないあたしは、やっぱり強がりしか言えなかった。


「あたしをほしがってるのは悠河でしょう?」


素直じゃない。

本当に可愛くない。

どうしていつも肝心なところで素直で可愛い女になれないんだろう……。


悠河はどうしてこんなあたしを愛おしそうに見下ろすの?


「可愛いな。素直で」

「え?」

「目が訴えてる。早くオレがほしいって」

「悠……」


そのまま重なる甘い唇。

トロけてしまいそうな感覚に酔いしれた。


きっと、悠河以外にいない。


可愛くないあたしの『可愛い部分』を透視してくれる人。

可愛くないあたしを、『可愛い女』にしてくれる人。


「もう……1人にしないでね?」


悔しいけれど、認めるしかない。


『あなた以外、もうこの先ずっと……考えられない』


今のあたしの想いは、悠河があたしを想う気持ちよりずっと大きい。


……だけど、今は教えない。


いつかあたしたちが年を取って、おじいちゃんとおばあちゃんになったら、そっと耳元で囁いてあげる。



『生まれ変わっても、あなたのお嫁さんにしてね』