「この先、何があってもオレはお前を手放さない」
「悠河?」
「例え明日会社が潰れても」
「縁起でもない……」
「借金まみれになって、夜逃げすることになっても」
「うん?」
「例えお前に苦労させることが目に見えていても、絶対放さない」
「悠河……」
「苦労させた分、お前を絶対に幸せにする」
どうしよう……
胸の奥がすごく熱い。
鼻の奥もツンと痛くて、また涙が溢れ出しそうな気がした。
「嬉しい……。でも……」
敬吾と同じ立場に悠河が追い込まれたら、間違いなく悠河は敬吾と同じ選択をするような気がする。
どちらも、自分のことより相手の幸せを第一に願う人だから……。
「『でも』はない。オレはお前と生きていく道しか選ばない。……いや、選べない」
あたしを見つめるその熱っぽい視線が、あたしの身体をどんどん熱くする。
やっぱり涙は溢れ出した。
「それがオレの愛し方だ」
敬吾は、あたしの幸せのために側を離れた。
それが敬吾の愛し方。
だけど悠河は、あたしの幸せのために放さないと言う。
それが悠河の愛し方だから。

